【法律成立】不動産を取り巻く法律が変わります【改正】
以前のブログで相続法の大幅改正を紹介しましたが、今月は所有者不明土地の法律が可決・成立しました。
また2017年には民法改正案が可決・成立し、来年から施行されます。
不動産を取り巻く法律が大きく変わりそうなので紹介します。
所有者不明土地に関する法律が創設されました
2019年5月17日の参院本会議で、「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律」が可決・成立しました。
登記簿上に所有者の情報が正しく記載されていないが為に所有者が特定できない土地について、一定要件のもと売却も可能とする制度が盛り込まれました。
本法律では、登記官が探索を行ってもなお所有者を特定できなかった土地について、裁判所が選任した管理者が土地を処分(売却)することができます。
売却した場合、代金は所有者のために供託され、供託金が時効消滅した後は国庫帰属になります。
現時点ではどこにどのような値付けで物件が出てくるかは分かりませんが、法律運用の準備が順調に進めば、2021年以降のそう遅くない時期に、所有者不明土地が市場に出回るかもしれません。
心に留めておいた方が良さそうです。
敷金および原状回復のルールが明確化します
2017年に、民法が実に約120年ぶりに大幅改正され、不動産賃貸借契約に関わる事項も改正されました。
賃貸借契約に関わる改正点は細かな部分まで含めると10項目以上ありますが、主なポイントは次の3つ。
● 敷金および原状回復のルールの明確化
● 連帯保証人の保護に関するルールの義務化
● 建物の修繕に関するルールの創設
これまで取引慣習によってやり取りされていた敷金や原状回復が、民法に明文化されました。
ただ、敷金や原状回復のルールはこれまでの取引慣習を民法に盛り込んだものなので、明文化されただけで、実質的にはこれまでと変わらないケースが多そうです。
大きく変わるのが連帯保証人に関する取り決めで、これまでは連帯保証人として承諾書があれば足りたのが、法改正によって責任限度額を定めることが義務化しました。
つまり「当初契約時の家賃12ケ月分」や「◯◯◯万円」などのように定めることになりそうです。
また事業用の賃貸借契約においては、連帯保証人に対して賃借人の財産状況などの情報提供することが「賃借人の義務」とされました。
これを賃借人が怠り、その事実を賃貸人が知っていたり知らないことに過失があったりすれば、連帯保証契約が取り消され賃貸人が損害を被ることも考えられます。
いずれも連帯保証人を保護することが目的になっており、これまでは「家賃〇〇万円の部屋を借りるから連帯保証人になって欲しい」という依頼だったのに対し、改正後は「極度額〇〇〇万円の連帯保証人になって欲しい」などといった内容に変わりそうです。
極度額で依頼されると、連帯保証人になることが心理的に敬遠されることも考えられます。
家賃保証会社など、法人に対しては極度額を設定する必要がないので、今後は更に家賃保証会社を利用するケースが多くなりそうです。
2020年から不動産賃貸借契約書の内容が細かくなります
他にも建物の修繕に関しては、居住中の建物で何らかの修繕が必要になったとき賃借人が賃貸人にその旨を通知したにも関わらず、相当の期間内に必要な修繕がされない場合、あるいは急迫の事情がある場合は、賃借人による修繕が可能であると規定されました。
民法の改正に関しては賃貸住宅市場への影響が大きいと考えてか、改正法の施行まで3年間の期間が設けられ、来年その3年が過ぎます。
改正後の民法による規定が定着するまでに混乱が生じることも予想されますが、当社も改正法をしっかり消化して、無用なトラブルを生じさせないようにしたいと思います。
気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
もちろんご相談は無料、秘密は厳守いたします。
ご相談内容によっては、不動産に詳しい弊社提携弁護士・税理士・司法書士等と連携を取ってアドバイスさせていただきます。
引き続き地域の皆様に有益な情報が届けられるよう、当社も日々勉強してまいります!
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