今後の不動産市況はどう動くか。②
戦後成長を続けてきた日本が、1995年を境に大きく転換をしました。日本の働き手や世帯年収が減少し、持ち家を求めて郊外に向かった人々が東京に集結しています。
先日のブログで書かせていただいた今後の不動産市況の見通しですが、今回はいよいよ本題を書かせていただきたいと思います。
ここ数年は地価も上昇し、「東京オリンピックまでは大丈夫」というのが共通認識ですが、では東京オリンピックが終わってしまったらどうなっていくのでしょうか。
空き家問題
よくテレビなどでも取り上げられている「空き家問題」ですが、2023年には全国の空き家率は20%(約1,400万戸)に到達し、2033年には2,000万戸台に達するとみられています。
特に大都市圏郊外部で空き家が大幅に増えると予測されています。
大規模ビルの林立
延床面積が1万㎡以上の大規模ビルの供給は今後も安定的に続きます。また、そのビルはワンフロアの専有面積が600坪から1000坪クラスの巨漢ばかり(昨年では例えば「大手町パークビルディング」や「GINZA SIX」など)。
「働き方改革」
日本の総人口が減少に転じ、労働力人口の確保が喫緊の課題となっています。
そこで政府は「働き方改革」と題して、労働生産性を改善するために労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土も含めて変えようとしています。
不動産市況の見通し
不動産は経済と密接に関係していますから、上記の(だけではないですが)ような事柄が大きく影響してきます。
まず、オフィスビルは壮絶な生き残りが始まります。現在、賃貸オフィスへの誘致は順調ですが、既に都心部の新築ビルや大型ビルでは優良テナントの引き抜き競争が始まっています。この引き抜きが競争により、新築大型ビルは既存大型ビルから。既存大型ビルは中型ビルから。中型ビルは小型ビルから「テナントを奪う」構造へ影響が徐々に広がっていきます。オフィスビルに対する大きな需要増がないかぎり、オフィス賃料は一部エリアや物件を除き、今後「下落する」ことが予想されます。
次に地価ですが、今後首都圏を中心に大量の相続が発生します。郊外の戸建てや、都市部のファミリーマンションが多く賃貸や売却に出され、供給の過多から郊外部を中心に下落することが予想されます。
一方で、超高級マンションやブランド住宅地は高位安定すると予想されます。最近では資産格差や二極化が進み、中流といわれる人口が減っています。上流と呼ばれる資産家は「湾岸エリア」ではなく、評価の定まった立地のものを好む傾向にあり、番町や赤坂、白金台や広尾、青山、松濤といった歴史的背景のあるブランド住宅地を選び、該当エリアは価格も高いですが高位安定すると予想されます。
台東区は?
テクノロジーの発展により働き方にも大きく変化を与えました。会社への出社や、社員ひとりに机一つといった働く常識が覆され、携帯とパソコンがあればどこでも仕事ができる状況が出来つつあります。フリーアドレス(オフィスの座席自由)の会社も増えています。
また、「通勤からの解放」は住生活環境にも大変革をもたらす可能性が高いです。通勤に縛られなければ、これからの「家選び」は「街選び」へ変わります。「交通利便性」だけでなく、「住んで快適」をテーマにした「街選び」が家選びの重要テーマになります。
台東区は歴史的資産も多く、また交通利便性も良いことからまだまだ安泰な街だと思います。実際に街の発展に不可欠な新陳代謝(人の転出入が多いと不動産含め消費が活発になり街の経済が活発に動きます)も高い自治体です(東洋経済新報社が調べた市区町村の新陳代謝ランキングで台東区は2016年は11位でした)。
人情味に溢れ、交通の利便性も良く、地域の活動も盛んでイベントも多い。そんな台東区ですが、現状に胡坐をかいて足元をすくわれないようにしたいです。
常に市況にアンテナを張って、地域の皆様に喜ばれる提案・お手伝いをこれからもしていきたいと思います。
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